十日目の朝。カ〜ンカ〜ン。善通寺の朝六時、お勤めが始まった。雨降り後、ヒンヤリした空気の御影堂。「くよくよしない、よく笑う、腹八分、よく働く」と大僧正がユーモアを交えて説教、併せて同宿の七十名余で勤行が営まれた。
んで、昨夜は宿坊の目と鼻の先、評判の「空海」に誘われた。不殺生も昼だけ、豪快な鶏もも焼きがドカーン。意外にもサッパリ味で美味かった。
いよいよ佳境、七八番から打つ。境内に舞う紅葉が冷え込みを伝えている。同行二人の頭陀袋も少し貫禄を増した感がある。
そして本日の打ち止め、八五番はケーブルカーが必要な山の上。眼下に広がる瀬戸内がツアー参加者を労ってくれている。
振り返ればお遍路が始まった頃、北海道余市から九州鹿児島までの参加者の表情は硬く、ぎごちなかった。しかし今、百七十回を裕に超える般若心経を唱えた結果、それぞれ想いを抱きながらもひとつの「家族」にまで変化している。

結願を明日に控えてこの夜、般若湯が振る舞われ精進落としが執り行われる。はて、どんなんかな?