宮崎からしまなみ海道

〈口上〉二年が過ぎようとしても未だ収まる気配のないコロナ禍。第四波、五波と変異させながら世間にマスクやワクチンを強要、自粛による分断、経済の進展を歪め続けている。お陰で海外への往来、寄ってたかっての酒宴、イベント大盛り上がりも制限やご法度。ったく困っちゃうよ、まったく。…とかなんか言っちゃってもサ、雑草や木枝、クモの巣に足長バチ、蛇とか蚊に悩まされることの無くなったこの季節、じっとしている気量もなく尻軽を決める輩が居るようだ。で、今回はLCCで成田から宮崎に、さらに四国に渡ってしまなみ街道を愛でる算段。気軽で小回りの利く単身行動、いざ!


実は宮崎県は初。目指す目的地は鵜戸神宮、高千穂峡の二つ。地元の雰囲気を感じるのは列車など公共機関に限るけれど、先の台風で鉄路が流され一部それが叶わない。初日、空港からレンタカーで南下、鵜戸神宮へ急いだ。そうそう、あれ。写真で見たとおりの風景が階段を下がった先に広がる。チャリ〜ン、二礼パンパン一礼。健康と安全そしてPPK。虫がいいぞ、の囁きが聞こえたような…。今夜の宿は神宮から半時走った日南市南郷のビジネスホテル。当初の筋書きでは翌朝に都井岬と考え敢えてここに宿をとった。もちろん夜の地元見聞も抜かりない。元船乗り店主の「ひょうたん」カウンター、地の焼酎が効きました。

海岸線は見飽きたし、筋書きは変更だ。飫肥(おび)が狙い目とネットで知り、都井岬とは逆方向にハンドルが向いた。戦災を奇跡的に免れた城下町、しっとり落ち着いた風情。生まれて初めて食べたプリン風の厚焼き卵も絶品だ。自分的には飫肥は間違えなく★五つだね。めっけ儲けで気を良くして高速道を宮崎、延岡方面にバンバン走り抜ける。左に高千穂方面の標識、あと一時間で今宵の宿だ。高速が一般道に変わると深い谷が道路や橋の下にいくつも続く。鉄道が台風で流されなければもっとゆっくり峡を縫ったことだろうな。宿の手前、天岩戸神社をナビに入れその指示に従ったが変な山道をクネクネ。諦めて早めに「やまざと」にチェックインした。宿は朝メシ付き、晩飯は外でいただくシステム。今宵はラーメンの看板と決めて「十八番」に入る。禁酒の決意もカウンターに通されると「取り敢えず」が滑りでる。その結果がこのザマだ。すまん!

翌日はお約束、高千穂神社と高千穂峡を駆け足で巡った。今日の行程はレンタカーを延岡で返して鉄道で臼杵、フェリーで四国に渡る行程。首都圏と違って列車の本数が限られて、八幡浜行きのフェリーも2時間以上も待ちだ。折角なので臼杵駅から街に踏み出す。いや〜結構な城趾そして城下が繋がっているじゃないの…醤油や酒の大店も健在、遊廓の面影も見える。観光地以外で出会う「名所」、これが旅行なんだよな。臼杵港まで駅から15分、フェリーは大型トラックとそのドライバーが大部分。一般乗客室はガラガラの貸切状態で大の字で2時間を過ごした。八幡浜港着はとっぷり暮れた18時、ホテルに直行。16,000歩オーバーで足腰、肝臓もお疲れモード。今夜は誘惑に負けず部屋でシブク体力温存を決めた。

響がいいじゃないの、♫八幡浜〜。「港町ブルース」をブツクサと駅へ、松山で特急を乗り継ぎ今治へ走る。当初は一気に尾道を目指す予定だったが以前TVで惹かれた「鞆の浦」(とものうら)がある福山市に寄り道だ。高速バスで50分、そして市内巡回バスで20分。重工業で隆盛した街並みを抜けた先、レトロ感が堪らない海岸線の歴史地区。軽いアップダウンの細い筋、瀬戸内海が広がる港。これまた★五つ進呈しよう。福山駅に戻してJR山陽線で四つの先の尾道駅へ。少しくたびれた街並み、今宵は「αワン」が宿泊先となる。今宵は「酒場」とググり駅の反対、山側にお目当ての店をチョイス。築半世紀超の貫禄、安普請ぶっくれ感、排水臭たつ掘割。まさに俺好みのテイスト「白らん」。ところが半紙にぺたり臨時休業と冷たいお出迎え、がっくり肩を落とした。ヤケはいかん。部屋呑み、小便をして寝ちゃおう。

クラクラ多少の余韻で目覚め。尾道でのお目当てはモチの論、しまなみ海道チャリンコ走。昨日、今治〜尾道ルートを高速バスで走破したが今日はその逆、尾道から向島〜因島〜生口島とペダルを漕ぎ瀬戸田港まで30km超だ。のんびり変速ギア頼りの道のり、万人向けの周遊道路には絵に描いたような風景が続いている。温暖な瀬戸内、景色もグー、都市間アクセスも悪くない。移住先として人気があるのも頷けるね。瀬戸田港から最終泊地の三原まではこの連絡船が結んでいる。ホテルは港のそば、駅にも近い古めの「国際ホテル」。今夜は打ち上げだ、と風呂で清めて向かった先が「六文銭」。ここは地酒「酔心」メドレーで喉を慰労した。やっぱり日本酒、いいね〜。

 

11月20日は三原駅前から広島空港の直通バス。瀬戸田レモンをお土産に下げて羽田空港に一っ飛びだ。午後の富士山、くっきりハッキリ拝めたよ。師走は往復の飛行機代2,720円だけで沖縄を歩いて来ます。足腰にシモ、体力と気力、余生を考える古希。今を、今日を自分に正直に生きないと、ね!

旅行期間 : 2021年11月15日〜20日