八日目、曇りだ。朝飯前に荷物をまとめ、七時半の出発に備える。一日平均九ヶ寺を周る計算。一ヶ寺あたりロウソクが二本、線香が六本、納め札二枚、そしてお勤めが二回。車中で朝、夕の二回念仏を唱える。階段や歩行で一万歩を稼ぐのだから、健康に悪いはずが無い。
六十番はマイクロバスに乗り換え、山の上。かつては難所のトップワンだったとか。歩き遍路の人を偶に見た。修行とは言え、次のお寺まで山谷を二、三日も歩き続ける魂胆が解らない。そこまで自分を追い詰める強さ、背景は何なんだろうな?
六六番はロープウェイで参る。気温十二度。吐く息が白い。ここが愛媛と香川の県境。天空のその寺には五百羅漢がズラリ参拝者を見詰めていた。何となく中華的な顔立ちに見えるのは気のせいかな?