今度は台湾東部、花蓮でまったり

前回の台湾、印象的だったのは金門島。大陸が目と鼻の先、時代に揺り動かされた島には幾つもの「証言」があった。そして今回、初めて台湾東部を愛でることにした。
聞き慣れないLCCが茨城空港から台北まで飛んでいる。料金と初利用の空港にも興味があり往路「Vエア」、帰りは高雄からJALマイレージ特典で成田という道程。東京駅から関東バスがワンコインで茨城空港を結んでいる。Vエアは膝先2センチ、座席はやはり狭い。しかも飲食は全て有料なので、空港のコンビニ弁当は必須だ。
ちょっとちょっと、聞いてくらっせ!怒るぜ、まったく。原辰徳だよ。旅行の出鼻を挫かれたのは台北桃園空港、sim売り場。「えっ、ダメなの」と声を荒げた。2014年秋、発売間もないsimフリーのiphone6を手に入れた。1年後、起動しなくなったのでアップル正規指定店で代替機と交換。この時、simフリーでなくロックがかかっているものが提供されたらしい。5日間のデーター使い放題4G、300台湾$のsimを諦めて、3倍の料金でWiFiルーターをレンタルする羽目になったのだ。むかっ腹の癒えぬままバスに乗り込み台北駅へ。日本からネット予約しておいた特急列車のチケットをピックアップ。駅舎も街も以前に比べて随分、綺麗になっているな。
で、今夜の宿は「米尼旅店」というカプセルホテル。駅から3分の距離、雨降りを想定して近くで安くを狙った。シャワーで汗を流して、いざ出陣。地元商店のオヤジに翻訳アプリで「近くで安い酒場は」と尋ね紹介されたのが沖縄風の居酒屋。満席の店に割って入り、オリオンビールをグビリやる。ホッケ焼にもろきゅうで2杯目を流し、仕上げは日本酒をやる。結構いい値段だが、曲がったヘソを治すのはそれなりの投薬が必要なのである。うぃ。
朝、雨は大丈夫だ。朝メシパート1、散歩がてら駅北側、華陰街の定食屋を目指す。台北に宿をとると必ず立ち寄る店だ。お粥にキャベツ煮、厚揚げ煮の2品。決して綺麗な店ではないが地元グルメとして自分はハナマル進呈。もちろんこの後、宿で朝メシパート2、パスタと果物とコーヒーをいただいた。満足。
閑話休題。さすが台湾、電子国の実力がWiFiに見える。台北の宿では41メガ、レンタルルーターを花蓮で測ると10メガのスピードが出ている。数々の発明で世界トップに君臨したシャープも今や台湾企業の軍門に下り、モノ作りニッポンの看板が崩れかけている。
話を戻そう。台北駅4A月台10時30分発、自強の花蓮行きは定刻だ。ちなみに月台はプラットホーム、自強は特急の意味。日本車輌社製による列車は綺麗、機能的、足元も日本のものよりゆったり余裕を感じる。
12時40分に終点、花蓮着。途中から降り始めた雨が一段と強く落ちている。仕方なく他の乗降客と駅、隣接する旅遊中心で時間を潰す。予約した宿のチェックイン時間には早いが小康をみて「馨憶精緻民宿」にタクシーで向かう。日本人オーナーの宿は旧市街にあり、界隈には名だたるグルメが数多あるらしい。こりゃ楽しみだ。
メリとハリは明日への大事なモチベーション。初めての土地はワクワクの血が騒ぐ。街の大きさ方向感の下調べ、自強夜市を冷やかす。アミ族を始めとした民族屋台も並び、えらい活気だ。

正しい呑兵衛を見た試しのない台湾だが、シャワーを浴びた自称イケメンオヤジはそのジンクスに抗う。そこはガチョウ料理の銘店。店先でテイクアウトを待つ客、店内も引っ切り無しで客と店員が動く。ビールなど傾ける輩は見当たらない。しかし、ここは腹を固めて「ピーチュー」と発した。グビっ。そこへ「これはどうですか」と主任級の女店員が漢字メニューを説明。「それじゃ」と青菜小魚炒め?と米粉湯麺を注文。口に合う、イケる。
3日目の朝、曇の切れ間から青空が覗く。peach航空から羽田〜台北3,700円、メガ安セール案内が届いていた。勤め人には難しいが、サンデー毎日ならば福沢諭吉で台湾が楽しめるな。恐るべしLCC。そして持参したiPadで夏目さんのニュース、30℃を超える気温を南国台湾で観てため息だ。こりゃ梅雨入りも秒読みかな。
宿から1分、早朝からジモテー御用達の餐店。用意された日本語メニューからニラ餃子、焼売、肉饅をそれぞれ3個づつ。小皿に盛られてきたが、個々はずっしりデカイ。海苔巻きとお稲荷を頼まなくてよかった。タレは甘い醤油、味噌と香菜、ニンニク生姜醤油の3種があるが自分は3番目かな。脂っこさが口に残ったが1個8元(台湾$)、会計250円で満腹大正解の朝メシだった。味をしめたぞ。今日は花蓮グルメ2、3店のハシゴだ。
 晴天は午前だけ、午後から雨が降ることが多いらしい。んじゃ、と宿の自転車を借りて市内が一望できる美崙山公園に漕ぎ出した。フゥフゥ息を切らして登る山道、変速ギアの介護を受けてオジさんは汗だくだ。肝心の展望は伸びた緑の枝葉で限られだ空間しか開けていなかった。今度はガイドブックに名所として必ず登場する日本統治時代の高級将校の招待所「松園別館」だ。国家・天皇のためとして、この地で別れの盃を交わし南方の海に散った若い命を思わずにはいられない。
昼飯だ。花蓮は別名、扁食(ワンタン)の街。宿から5分のエリアに名の通った2店がある。行列の液香扁食店は飛ばして、「載記扁食」に座った。さっぱり魚介系スープに香菜を散らしたいい感じのワンタン。さすがにイケる。壱椀65元の粗末な張り紙もいい味を出していた。
目先に学生服の店を発見。小・中・高校とそれぞれ学校指定のものがつる下がっていたが、ファッション感覚が自分のものとは異なっていた。どっちがダサイのかな?
有名な包子店、ここも諦め〜店。食後にコーヒー、しかもちゃんと淹れたものが飲みたくなった。スタバは若者が並んでいたので純喫茶風情の茶店へニイハオ。久しぶりの本格珈琲、「コロンビア」を指定。台湾グルメもいいが、やっぱ口直しが必要だな。まったり1時間、花蓮でのコーヒーブレイク、いい感じだな。

で、まったりの中、第一生命「サラ川」の結果を知った。アヤメかカキツバタの力作・悲哀が並ぶ様は毎度、共感と同情が湧き上がってくるなぁ。うっひひ。

民宿の玄関先で開店?する「軒下酒場」。今宵は主人、沖縄のカップル、俺の4人でテーブルを囲んだ。まず「なんで花蓮なんですか」と、主人にぶつけた。仕事で台南に1年ちょっと駐在たまたま訪れた花蓮に惹かれ早期退職後、縁あったこの地に民宿をスタートさせた、とか。人生は顔に出る。主人の片桐さん、68歳、いい顔して若いな。蚊に刺されながら3時間強あ〜じゃないこ〜じゃないの酒場トーク全開。しかし左側のオヤジ、どこかで見たことあるよな?ウィ。
4日目、花蓮は曇り空。宿のそばのお寺を参詣する。家族みんなが睡眠・食事・排泄が順調で、健康と前進が授かりますように、とバッチリ手を合わせた。朝メシは昨日と同じ店。今朝のメニューは焼売と餃子を各2、海苔巻きと稲荷寿司を各3、味噌汁まで付けちゃう。〆て83元也。馴染んだ味に胃袋も落ち着くなぁ。
宿の主人に駅まで送ってもらい特急に乗り込む。今日は年季の入った列車で一気に最終目的地・高雄まで駆け抜けるのだ。花蓮駅8時27分、定刻で月台から離れた。
5時間半ガタンゴトン揺られ、ケツが痛い。台湾第2の都市、高雄。駅周辺は再開発真っ盛り、鉄道の地下化も進められているようだ。この20日、台湾総統が2期8年のルールにより馬氏から選挙により女性の蔡氏にバトンタッチした。船出は容易ではない。中国との距離感をどう取るか、台湾が兵糧攻めに遭うかの分かれ目だ。
今夜は少し奮発、ちゃんとしたビジネスホテル。金持ちで腹一杯になりそうな「金石大飯店」は高雄駅と地下鉄・美麗島駅の中間、六合夜市もすぐ近くだ。窓なしだが機能的、朝メシ付きで4,600円はありがたい。グー。
ぶらぶら電脳街を目指す。駅周辺には補習校が目につく。日本語塾に人気の高い公務員コース。合格者の名前まで掲げているのはどこも同じだ。ちなみに3K職場や介護の分野にはフィリピン、タイ、インドネシアなどから労働力を招いているようだ。
世界向けパソコンやスマホの大供給地点となる台湾。台北に光華商場、ここ高雄には電脳街がある。駅から徒歩15分、白物家電にパソコン、フィギアまで展開されている。アイテム数、量や値段は秋葉原には到底及ばない。折しも帰宅時間、バイクの数には驚かれる。
めっけもの。ホテルで教えてもらった店、「東京目黒なごみ食堂」。エリンギのバター炒め、自分的にはサイコーで星5つ。ビール2本で上がったが、慣れた醤油味に癒された。六合夜市を軽く冷やかして寝るかさらに反省を重ねるか。それが問題だ。ウィ。
帰国日、台湾最後のグルメはお約束のルーロー飯。甘く味付けされた肉丼って感じぃ。これは大、50元。おやおや、雀が動いているのかなと思ったら、2羽分のデカさのネズミだった。ま、この手の店には不可欠のスパイスなのかも知れない。ちなみにホテルの朝メシは7時から、空港への移動もあり泣く泣くキャンセルかも。
美麗島から国際機場までは地下鉄一本、15分ほどの距離。近くて旅行者にはありがたい。WiFiを返却して、日本航空にチェックイン。フライトから約4時間後、午後2時には成田の地を踏むことが出来る。残った台湾$は次回のために持ち帰る。今度は避寒目的で来たいもんだな。

成田空港に午後2時前、無事、帰って来ました。お付き合いありがとうございました。(旅行期間2016年5月21日〜25日)