年越しは世界遺産、カンボジア〜ラオス
   8日間の駆け足、世界遺産を巡るアジア旅行。東京(羽田)からバンコクを経由してシェムリアップ(カンボジア)で3泊、ルアンパバーン(ラオス)で3泊、帰路バンコクで1泊してから東京(羽田)に戻るルート。赤いちゃんちゃんこを脱ぎ捨てた129歳、約2名の足跡を記すこととしよう。
シェムリアップ、と言うよりも世界遺産アンコールワットの方がピンと来るはず。花より団子、芸術や文学はちんぷんかんぷん、ノー天気な2人。世間の評判はともかく、1979年から肩書きはフウフなんだとか。縦文字もヘロヘロなのに横文字、斜め文字まで体当たりの海外旅行。旅の恥はなんとかを痔、いや地でいく厚かましさ。昨今のこの手が繁殖のスピードを強めている、との指摘が若年層に広がっているらしい。

そんな訳で、長旅の疲れを癒す2日目、イキイキゲストハウスでのったり朝を迎えた。「なんでも有り」なカオスな空間、市場や屋台が大好物。真面目プラス朝方人間を自称する129歳、えっちらおっちら長くもない足を街に運ぶ。ここでの胃袋事情は、朝メシは宿で、昼はテキトーに、そして晩はオープンエアのレストランで焼きそばにチャーハン。まぁアジアの味覚、そんなに違いませんな。
ほんでもって3日目、朝メシ前の散歩。当地フツーの風景に触れたくて0.5$の弁当を仕入れ、宿のモーニングに戻る。やはり1日1食はコメ粒、これでないと内臓器官はもとより出来のよろしくない思考回路も機能しないのである。大晦日の今日、幸いシェムリアップは関東同様に雨の気配はまったくなく、明るい日差しが降りてきた。しかし寒そうなNHK南さんのお天気予報。ウッヒッヒ、極暖股引よさらばじゃ!
お約束は当地名物「あの」世界遺産。62歳の相方にとっては初見参、アンコールワット。早朝行動を避けて9時半、トゥクトゥクでその場所に向かう。チケットは1人37$、安くはない。この時間帯なら窓口はすんなりでも、やはり世界遺産は各国からの旅行者をワンサカ吸い寄せている。しかし、この二人連れ遺産の奥深さを分らず、挙げ句の果ては「疲れた、どれも同じに見える」とか。この、罰当たりめが!
トゥクトゥク運ちゃんには「2時間でいいから」と観光を依頼したが、広大な遺跡群は2人のわがままを聞き入れてはくれなかった。結局、宿に戻ったのは午後2時半。シャワーと麦酒で暫しの慰労タイムだ。

そうだ京都、いやマッサージ。「60分、5ドル」と相場よりも安い、と年増かつ立派な体格なお嬢さんが居る店のドアをぐいっ。相方は全身、自分は足と肩をお願いした。で、その感想だが、グリグリではなく、施術しながらスマホを観ながらのんびり優しく、だった。なんぼか軽くなった、かな?!
仕上げの部屋呑みの前に、焼き魚で軽く喉と胃袋を鎮める。缶ビール2本とスパイシー焼き魚で5$。やはり油で炒めた料理よりも日本人好み。焼き魚で一杯、半世紀前の男子と女子、完全なる昭和ノスタルジーだな。部屋のテレビでは大晦日定番NHK紅白、知った歌唄いはチョボチョボで殆どが「あんた誰」。仕方なく持参のiPadで自宅チューナーにアクセス、「孤独のグルメ」で残り僅かな2018年を振り返るの図。しかしこの3日間、よくも歩数を稼いだものだな…。偉い!

明けましておめでとう
    2019年を無事に迎えることが出来ました。しかも海外で、ありがたいことです。親戚や知人宛に年末あわただしく投函した年賀状、多分いま頃、郵便局員の手を煩わして届いていることだんべな。せめて年に一度、ご挨拶をしなくっちゃいかんね。

さて、宿を昼に出てトゥクトゥクに跨って空港へ。14時40分発ラオス航空QV514便は1時間のフライトの後、パークセーを経由して1時間40分後の18時、最終目的地ルアンパバーン空港に降り立つ予定だ。
1月2日。のんびりした空気が漂う古都の朝。メコン川を目前にしての宿の朝メシはお粥、麺、パンのいずれか。相方は粥、自分はウエスタンスタイルを所望する。そして朝市、餅米に黒米、数多のおかず、雷魚や鯉、鶏に豚や得体の知れないもの、朝採り野菜も並ぶ。太ったネズミ?も食材になるのだろうか、ちゃんと売られていた。
なんぼなんでも部屋でゴロゴロだけでは勿体ない。折角だから街を歩いてみよ、ってんでぇ足の痛さを引きずって近くのプーシーの丘へ。300何十段を休みながら上がると眼下にメコン川やナムコン川、市内がぐるり広がっていた。時間が静かにゆっくり流れる古都、まさに街中が世界遺産。世間のしがらみや時計の存在を捨てて、自己を見詰めるには絶好の地と言えよう。でもな、退屈するかも…。グーっと腹の虫が遅い昼を知らせた。昼は蕎麦にでもすっか、と食い気だけは忘れない馬と鹿。30,000kip=400円。ご馳走様でした。
3日目もピカッと晴れる気配はないものの、雨の心配はない。メコンの川面を老眼目玉4個で舐めながら朝メシをいただく。今朝は薄味の平麺ホー、それに持参したアルファ米と真空乾燥の味噌汁だ。やはり痩せても枯れても肥っても正当派ジャパニーズ、これが無いと胃腸がいーちょーし出ないんすっ。お陰で誰ぞの便秘も解消したとかしないとか…。
ぶらりブラブラ。午後2時を回ったところで夜に備えてエネルギー充電。フランスパンにツナと野菜、マンゴーとパイン山盛り。デカっ、手渡された瞬間ついほくそ笑んでしまった。貧乏人は大盛りに正直に反応してしまうもんだ。
観光以外のメインイベント、日本人が経営するレストラン「ソン・パオ」でのラオス古典舞踊ショー。3人の楽団が木琴や太鼓をテンポよく打ち鳴らすと踊り手が舞台に現れた。反らした手の指先、緩やかに舞う姿、幾何学模様に織られた衣装。500円余のショーチャージも痛くない。

1月4日、ルアンパバーンからバンコクへの移動日。お世話になったゲストハウスの日本人女将にここの善し悪しを問うと、「のんびりしたところ」とハッキリ。確かに、まったりおっとりを好む性格、精神的に疲れた時には持ってこいの土地、同感。もちろん空港も落ち着き払ってのんびりそのものだ。
バンコクまでは1時間40分のフライト。シェムリアップからの飛行機はプロペラの座席2-2配列だったが3-3のジェット機にランクアップされていた。眼下に広がる東南アジア指折りの大都会バンコクが年末年始旅行の最終日を迎えてくれた。空港から4キロの距離、ネット予約したホテルに直行。久しぶりの湯舟、たっぷりのお湯に首まで浸かり身体から「湯の花」を放つ。いい湯だな〜。
最終夜はマッサージ揉み納め。3度目でようやく★5にめぐり逢った。シェムリアップは撫でるだけの★2、ルアンパバーンは結構イケて★4。ここのは全身を使ってグリグリ、モミモミで入魂のタイ式按摩だった。しかもホテルから徒歩1分、ローカル感も加点の対象である。これで1人300バーツ=1,000円余、至福の1時間にコップンカッ。夜メシは屋台の持ち帰りをつまみ+麦の水。マッサージ効果で吸い込みがエエこと。これに3億円のマグロが付けば文句はないんだけどな〜あ。
ラッキー、と一方的に喜んでもいられない。だって昨日は台風の影響とかでフライトに影響が出ていたようで、昨日の搭乗予定客が今日に回されていた。人生イロイロ、旅行先でもアレコレだな。で、自分のこれまで、そしてこの先の人生はどんなんかな?
羽田まで定刻安行を、合掌。
まずは線香を上げ、帰宅を仏様に報告する。築半世紀、傾いで建て付け悪く隙間風、時代遅れの繊維壁はペロリと剥がれ、襖は黄ばんだまま。それに3.11東日本大震災で別棟の梁が歪んでヤバイ。で、今年も親戚、多くの友人から年賀状が届いていた。近況やメッセージが添えられたものに手が止まる。古希を迎えた人や家族と写真に収まる友、旅行や趣味、ガッツのある生き方を記した仲間もいる。「今年も支えられているんだな」と、改めて年始ハガキに手を合わせた。

カンボジア〜ラオス〜タイ。時代遅れのストーブの灯りが地球の大きさ、土地土地の生き様と営みを教えてくれている。極暖下着の上に重ね着して炬燵でつぶやいた。「やっぱり家、ここが一番だな」。——そうだ今度は初のグアム島だっけ…。

旅行期間:2018年12月29日〜1月5日