北陸は伊根の三方

行ってみたらいいよ。数年前に先輩から薦められた「伊根の舟屋」。そんじゃ、と個人旅行でそろばんを弾いたら結構な出費になる。そんな矢先、旅行社から毎号送られてくるツアー案内が目に止まった。しかも北陸をぐるり二泊三日、一人参加も用意されているじゃありませんか。
初日は羽田空港から小松空港、「JTB旅物語」ツアーは39名の参加者。うち独り参加はこの俺様だけだった。小松空港からは全行程バス移動。トップは北陸鎮守大社、白山比咩(しらやまひめ)神社だ。その後、九谷焼を愛でてから昼飯。午後は日本海の絶壁、東尋坊。「いのちの電話」が気になった。予備知識ゼロの那谷(なた)寺、苔むし広く高低差がある境内、ここはハナ丸の星5つだった。そして今宵の宿は山代温泉「雄山閣」。呑み放題、ありがたく湿しました。
中日は永平寺、天に届くほどの老木に包まれた大本山。もちろん修行の場、一般の立ち入りが制限され区域もあり、コースを巡るだけでも結構疲れる広さだ。バスは暫し走り、複雑な屋根が特徴的な国の重要文化財=大瀧神社にも参拝。この後、ご当地名物の越前そばをいただいた。バイキングの朝飯を反省、昼は軽くおろしそばでした。午後は宮津までしっかりドライブ。途中、三方五湖を遠望。越前箸の製造元にも立ち寄り、出来心で「ぼけ封じ箸」を自分用に買っちゃったよ。で、今夜は宮津湾の先っぽ、大型リゾートホテル泊。中国からの旅行客もワンサカ状態。しかも呑み放題ではなく、割高ビール1本で借りて来た猫を演じた。
最終の3日目、ここは天橋立。他人の股を借りることもままならないので、自前で股のぞきと相成り候。そして自分にとって大本命、伊根湾から眺める舟屋だ。「冬の海をぼんやり眺めながら、火鉢で熱燗へしこで流し、生き様を振り返る」筋書きをここで実現したいものだ。そんな妄想を膨らましていたら案の定、空がザッ〜と泣き出した。程なく土砂降りから小雨へと移ったが、普段の心がけもあってか無くてか、ここまで傘の出番もなく済んでいる。半島先端の経ヶ崎、丹後松島、屏風岩は車窓から、また鳴き砂の琴引浜は駆け足だった。因みに昼メシは事前予約した「焼き鯖寿司」。確かに肉厚でごはんの量も多いが、チト飽きる。バスは小雨の中ビュンビュン飛ばして小松空港に参加者と土産荷物を運んでくれた。往路はJAL、帰路はANA。1年に一回は既成ツアーもいいのかな。(完)

旅行期間:2019年10月17日〜19日